行動する若者達。ベトナムでの性教育は変わりつつあるのだろうか?

はじめに

今回は、ベトナム性教育についてお話しします。 以前、とある記事でベトナムの中絶率についての記事を発見して、衝撃を受けたのが始まりです。 それで、ベトナムのこと発信するなら、クローズドなリアルも発信してみようかなということで書いていきます。 様々なデータを調べ、英記事を拾いました。あくまで、こんなデータがあり、こういった事実もありますよ、ということをお伝えするテーマになります。個人的な考察等は一切ありませんので、参考にしてみてください。

 

以下のトピックで分けています。

 

・中絶率からわかる性教育の乏しさ

・壊せない大人達の避妊に対する概念

ベトナム性教育の実態

・若者達の行動と変わりつつある性教育

  

中絶率からわかる性教育の乏しさ

ベトナムは世界でもトップ5に入る中絶国であることがわかっています。 年間30万~35万件もの人工妊娠中絶がここベトナムでは行われているとのことです。 これは保健省が23日にハノイ市で開かれたシンポジウムで明らかにしたもの。 医師によると、この国のすべての妊娠の40%が中絶に終わり、若者は中絶全体の20%を占めているとのことです。

調査結果によると、中絶件数の62%は「意図しない妊娠」だったそうです。

避妊具使用率は2017年時点で76%程度となっていました。

さらに、「ベトナム15-24歳の人々に対する2017年のUNFPAの調査では、83%がコンドームを知っており、63%がコンドームの使用を理解していたが、適切に使用する方法を知っていたのは24%だけであった。」と地元メディアが報じています。

これらの数字をみているとすごく違和感が出てきます。 ベトナムでは、適切に使用する方法を知っていたのは24%であるにも関わらず、避妊具を76%の人が使用ているのです。 その結果、年間35万件もの人口中絶が行われているのではないでしょうか。 恐ろしいことに、避妊具を使用する殆どの人が、使い方がわからないまま性行為に及んだということになります。 この背景には、ベトナム性教育の乏しさがあるのではないでしょうか。  

 

壊せない大人達の避妊に対する概念

コンドームに関して、多くの人達からは、あまりいい印象がないのが現実です。

ベトナムではいまだに、性行為は既婚カップルに限定されるべきであると考えられています。 それですから、コンドームなどの避妊法は、セックスワーク・不倫・婚前交渉に使われるべきものと考えられているのです。

それが引き起こすのは、コンドームを買うことに対しての恥じらいです。

 

ベトナム性教育の実態

ベトナム性教育は非常に乏しく感じます。 それを先ほどの中絶率の高さから見ることができます。 では、実際に実態はどうなっていて、それをベトナム人自身はどう感じているのか、VNEXPRESSというメディアの記事から知ることができます。 こちらがその記事になります。

「Dim light at the end of sex education tunnel」 https://e.vnexpress.net/news/life/trend/dim-light-at-the-end-of-sex-education-tunnel-3877174.html

こちらの記事では、ベトナム人の学生や性に関する専門家が性教育の実態について語り合っています。

The school curriculum first adopted sex education in 1981, but initially there were only a few lessons in 10th grade, Dr Huong said.

Teachers usually skipped these lessons, and even if they did teach them, they did so only because it was compulsory and both were shy and students refused to engage, she said.

Viet Nguyen, 18, of Saigon said: "There was one time in 5th grade when teachers talked to us about sexual abuse of children, so we learned to protect ourselves. In middle school, there were two or three gender workshops where they taught us about types of genders and addressed questions related to gender if we had any."

During his final two years of high school, he recalled, there were only one or two sessions on topics like love, abortion and whether students had sex.

He said all the sex-ed sessions he had attended in public schools had been extra-curricular activities and not official lessons.

"Currently, Vietnam does not have any training module for teachers focusing on sex education," Tran Thi Phuong Nhung, a UNESCO Vietnam gender specialist.

Dr Huong concurs, saying the Ministry of Education and Training does not publish sex education books and there are only independent publications.

(VNEXPRESS記事より抜粋)

ここで述べられている実態 ・ベトナムにて性教育は1981年に始まった。 ・性教育の機会が十分に与えられていない ・学生によると、性教育の全てが課外活動であり、公式の活動ではなかった ・教師や生徒に恥じらいがある ・教師向けのトレーニングモジュールがない ・教科書は、民間のものであり、公的な機関からのものがない  

B.T.Tram, 17, a high school student in Saigon, said she and her peers are taught basic sex-ed but very generally.

"I used to have a wrong understanding of abortion."

The shyness and embarrassment is also a problem at home.

"When I was doing an informal survey of students in sixth grade, some told me their parents didn’t let them participate in extracurricular activities to learn sex-ed," UNESCO specialist Nhung told VnExpress International.

Parents’ hesitation to allow their children to learn the subject also explains partly schools’ reluctance to teach them.

Many people, including teachers, are of the opinion that if they let their children learn or know "too much" about sex and related issues, it will trigger their curiosity and prompt them to have premarital sex.

Nhung said: "At many sex-ed workshops run by teachers, experts and practitioners at middle and high schools in Vietnam, I notice their typical training tactic is to encourage students not to have sex and stigmatize pregnancies to scare them into not having sex. But that’s not really an effective way."

Educators’ perspectives vary, but if they are prejudiced it would most likely result in poor learning, she warned. She also said there was a gulf between training in small and big cities since the former have few experts in the field

(VNEXPRESS記事より抜粋)

ここでは、 ・性教育を受けた学生は一般的なことしか教えられていないということ ・教育者や専門家、実務家の性教育の目的が「生徒に性行為をさせないよう奨励し、妊娠をせがんでセックスをさせないようにすること」となっている非常に効率の悪い性教育となっていること。 ・都市間で性教育の格差が生じていること 以上がベトナムにおける性教育の実態となっているようです。 性教育の実態は、まだまだ問題が山積みなことがわかります。  

 

 

若者達の行動と変わりつつある性教育

ここまで読んだ方は、なかなかネガティブな印象になったかと思われます。 ですが、これが、ベトナムで起きている性教育の実態であり、それらが人々が望まない結果を生み出している原因でもあるのです。 しかし、ただこの問題に対して、真剣に向き合い、ベトナムの未来を良くしようという動きもベトナム国内であるのが事実です。 性教育は、ベトナムの若者達の行動によって、大きく変わっていくかもしれません。

国内のほとんどの学校はまだ性について教えることを避けていますが、ある若い専門家達は問題を自分の手で扱っています。ベトナムユースアクションフォーチョイス(VYAC)は、総合的な性教育を学校のシラバスの主題にするために活動している多くの団体の1つだそうです。

VYAC3人の創設者は、「充実した安全で楽しいセックスライフを追求する権利」も主張しています。

また、性別教育をベトナムユネスコの目標の主なモジュールにするだけでなく、教育のための教師のトレーニングもサポートしようと動いています。

LGBTIの人々に関する知識は、ベトナム性教育にまだ組み込まれていませんが、Fulbright大学の一部の学生は積極的に取り組むことを決定しました。

Full Pride and Alliance Clubの創設者の1人であるNgyen Minh Haさんは、大学で性的指向のワークショップを開催し、多様な性的指向の肯定を促進し、性別関連の差別を減らしています。

このように、ベトナムでは、多くの学生や若い人達が中心になり、性教育の幅広い改善を目的に動いているのです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。 ・中絶率からわかる性教育の乏しさ ・壊せない大人達の避妊に対する概念 ベトナム性教育の実態 ・若者達の行動と変わりつつある性教育

未来ある若者達が今ある現状の改善に向けて真剣に取り組んでいます。

性教育は、ベトナムだけでなく、全世界で共通して大切にするべき課題です。

また、国や教育機関レベルの話ではなく、個人で正しい情報を見つけ正しい知識を身につけることが大事です。

最後に、今回の記事を読んで、少しでもベトナムの社会を知ってくれると凄くありがたいです。 ではでは。