英国王のスピーチを観た個人的感想

この映画は、吃音症に悩まされたジョージ6世の実際のストーリーが映画化されたものなのですが、かつての大英帝国のイギリス王が人々に愛される裏で自分自身と闘っていたのは驚きでしたし、感動を与える映画だと思います。 ジョージ6世の時代といえば、第二次世界大戦時ですね。 ヒトラー率いるナチス・ドイツが隣国として戦争相手国になっていた訳ですが、その時代こそ最も王が国民を安心させ、鼓舞させる大変重要な時期であり、よりイギリス王には強烈なプレッシャーがあるに違いありません。 その裏で一体どのように自分自身と戦い、隣国と戦い、大英帝国のトップとして国民の信頼を得ていったのでしょうか。 気になりませんか?この映画でそれを一つのストーリーとして知ることができました。

 

作品紹介

現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。きつ音障害を抱えた内気なジョージ6世(ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。共演にジェフリー・ラッシュヘレナ・ボナム・カーター。監督は「くたばれ!ユナイテッド」のトム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞した。 <映画.comより引用> 

 

印象に残ったシーン

当時の王室の役割が何であったのかがわかるシーン

 

前半にあるシーンなのですが、この時代だからこそ王室一行がいかにプレッシャーを感じて重要な役職であるかがわかるシーンがあります。 ジョージ6世の父であるジョージ5世は、寿命が近いことを感じているのか、ジョージ6世に対して次の王が受け負う責任感というのを以下のようなセリフで強調して伝えているんですよね。 ジョージ5世 :「ナチス政権とソ連共産党に誰が立ち向かう?・・・お前だ。」 このシーンで、ヒトラースターリンがどれだけ欧州を脅かしていたのか当時のイギリスの目線から知ることができますし、イギリス王の存在自体が全国民に与える影響力や国を生かす力を大きく持っていたかがわかります。実際は、相当の物凄い緊張感があったと思います。 その中での”演説”という役割は、王室と国民が繋がる数少ない場で最も重要な役割があったわけですが、ジョージ6世の努力に改めて素晴らしいなと。 加えて、王室の役割というものにも語り合っているのですが、その中で、第二次戦争時の王という存在がどういった心持ちをしていて、責任や重圧などのどんな感情を抱いているのかも知ることができました。

 

 

ライオネルとジョージ6世の関係が深まっていく1シリングネタ

 

どうでもよく感じる、映画の中の1シリング。 度々、ジョージ6世との賭けに勝ったライオネルが毎度会うたびに1リングを要求するというものですが、最初のうちは、ジョージ6世はライオネルの1シリングネタを相手にしていなかった。というよりも鬱陶しく感じているジョージ6世。 且つジョージ6世は、ライオネルの治療に対し「あくまで仕事の一環であり、個人的な介入は一切なし。」というスタンスをとって治療に励んでいた訳です。 それでも、二人はの関係は、徐々に二人の喧嘩や葛藤を含め様々な苦難を乗り越えていきます。 そして、とある後半のシーンでようやく1シリングを渡すシーンがあって、ジョージ6世がライオネルに対し初めて約束を守った瞬間だったようです。頑固そうな王というイメージでしたが、友情や愛を大切にするお方なんだなと感じましたね。 国民に信頼される秘密でしょうか。。。

 

ジョージ6世がライオネルに打ち明ける過去

 

ジョージ6世が即位する前に、ライオネルと酒をかわしながら追想し本音を語り合うシーンがありました。 王室の闇というか、王家の一族であるべき姿勢を強制的に身につけられた過去がどうやらトラウマになって、吃音症を引き起こしているようです。 王家であるが故の苦しみや葛藤というのを読者の想像によく訴えられています。また、吃音という大きな課題の克服に、ライオネルという平民の一演劇役者が大きな支えになっていることがこの映画の中で最もよくわかるシーンだと思います。

 

 

世界大戦最中のエドワード8世の辞任

 

ジョージ6世の兄エドワード8世といえば、一般人との女性との恋を追いかけて、イギリス王という役職を捨てた人というイメージでしょうか。もちろんこの映画でも重要人物の位置付けですが、この時代といえば第二次世界大戦最中なので、この辞任が当時のイギリスに与えた影響はどれくらいだったのでしょうか。 しかし、既にジョージ5世がジョージ6世に期待していたり、ジョージ6世もそれなりに準備をしていたことを考えると、王室内ではエドワード8世に対しての期待は薄かったように感じます。 まあ、この映画の中で、弟のジョージ6世へのいじめや私利私欲的なシーンが数多くあるので、大分悪役に感じますよね。 実際もそうだったのでしょうか。

 

 

父として王として

 

ジョージ6世の即位後のシーンで、ジョージ6世の娘達がジョージ6世に対し、お辞儀して”陛下”と呼ぶシーンがありました。王としての役割は、国のトップになること、責任や重圧が重大になること以外にも、身近な人間との間に見えない上下の関係ができるように感じます。 まあ、そのシーンの後などは、父と娘といったごく普通の幸せの家族だったのですが、少なからず公式の場では、役職上での関係になってしまうのですね。

 

 

映画の一連の流れからわかるイギリス目線のナチ政権

 

おそらくこの映画に投影されているのは、数年の出来事でしょうが、その中で着実にヒトラー率いるナチ政権の緊張感は高まっているように表現されていました。 実際に、当時のイギリスで軍事的な指揮を取るのは王ではなく、首相の役割だったようですが、その首相のセリフでもヒトラーほどの道義心に欠けた人間を見抜けなかったとのシーンがあり、ヒトラーの本当の狙いが分かった時には、戦争突入の合図と同時だったようですね。 何よりも、たった数年でヒトラーは少しずつ着実に独裁的に力を持っていき、史上最大の戦争を引き起こした存在としての認識があるようです。この映画から緊張感がみるみる高まるのを実感すると、当時の実際の現場は相当なものだったと感じ取れます。

 

 

ジョージ6世とライオネルの友情

 

ジョージ6世は、戦争スピーチには毎回ライオネルを付かせてスピーチを行なっていたようです。 最も重要な局面でジョージ6世を一番に支えていたのは彼かもしれませんね。 映画の後半でも、ドクターという肩書きを持ってないライオネルに不信感を抱くも最終的に彼を選んでいるので、おそらくそれは、仕事上での関係なく個人的介入を含めた良き友であったからなんでしょうね。 ライオネルは実際に特別な勲章も受けているみたいですし、王室にとって、ジョージ6世にとって、必要不可欠な存在であったことはまちがいないようです。

 

 

まとめ

 

では、最後に印象的なシーンをまとめて終わりにします!

 

・当時の王室の役割が何であったのか。

ジョージ6世とライオネルの関係が深まっていく1シリングネタ

ジョージ6世がライオネルに打ち明ける過去

・世界大戦最中のエドワード8世の辞任

・父として王として

・映画の一連の流れからわかるイギリス目線のナチ政権

ジョージ6世とライオネルの友情

 

シンプルにいろんな感情が湧き出るのですが、かつてのイギリスという存在や世界大戦中の立場、歴史上の背景が実話になっているので、すごく興味深く観ることができました。 英語の勉強にももってこいですね。面白い!!