過酷な階級社会で生きる青年達を描く スラムドッグ$ミリオネア

「ミリオネア」 一度はこの言葉を耳にしたことがあるのではないだろうか。 私たちは、たったこの一言で、夢をできるのかもしれない。 まさに魔法のワードのようだ。 この世の中にお金より大事なことがあるとすれば、それは何だろうか。 きっとこの映画がそれを教えてくれるのかもしれない。

 

簡単な作品紹介

 

トレインスポッティング」や「127時間」などを手がけたダニー・ボイル監督が、スラム育ちの青年の運命と過酷な半生を疾走感あふれる演出で描いた人間ドラマである。インド・ムンバイのスラム街出身で無学の青年ジャマールは、TV番組「クイズ$ミリオネア」で最終問題までたどり着き、一夜にして億万長者となるチャンスをつかむが、不正を疑われてしまう……。インドの外交官ビカス・スワラップによる原作小説を、「フル・モンティ」のサイモン・ボーフォイが脚色。第81回アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか最多8部門を受賞している。

映画.com 作品情報より引用   

 

 

 

この映画を観終えての感想

 

インド社会における過酷な日常が、この映画を通してはっきりとわかった。 しかし、それでもこの映画は素晴らしく美しかった。

ミリオネアを眺めることが、人々にとってどれだけインディアンドリームなのか。。。

現実逃避や憧れ、生きがいを感じることさえも。

また、日常生活の苦しさ、社会の過酷さ、運命の尊さが、このミリオネアというお金の世界との対比により、どれだけ厳しい世界なのかが改めてわかる。

主人公が、求めていたことは、「ミリオネアで賞金を得ること」ではない。 「有名になる」ことでもない。彼は、ただ純粋に運命の人と出逢いたかった、愛を感じたかった。 彼がミリオネアから手にしたのは、お金ではなく、愛。この部分のお金と愛が大きく対比されているのも面白い点だった。

 

 

この映画の一連のシナリオに注目しよう。

最初の入り。私たちは、この映画からあるクエスチョンを与えられる。 この部分は、まさにどストレートな質問。 最後になれば意味はわかる。

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ミリオネアからの問題が与えられるシーン。 彼は、その答えを自分の人生のストーリーから導き出そうとする。そこから見えてくる主人公が経験するインド社会の過酷な現実とは。この映画は、主人公の頭の中で、"夢・現実"という相反する世界を行き来するシーンが多い。(ミリオネア=夢、スラム=現実)

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終盤、夢と現実が愛交じる瞬間、夢の中にいる主人公から現実の世界にいる1人の女性に一本の電話が。。。

インド中が夢見る中、2人だけは現実の世界にいて、恐れるものはないと言ったような空間が筆者の心を溶かしてくれる。

ここで、1番最初の質問が蘇るのですね。 そこの答えには、ある2文字が。まさに彼らにぴったりです。

 

まとめ

夢と現実をインド社会が作り出す空間で生きる人達の物語がこの映画の醍醐味です。

私的には、インド世界があまりにも衝撃的でした。日常の中で何が正解で不正解なのか、善で悪なのか、幸せで不幸なのか、改めて考えさせられる映画です。

社会的障壁の中で人々は、ミリオネアだけに夢見る時間を託した。そこで、スラムから1人の青年が夢と現実を繋ぐ瞬間がなんともいえないのです。